Fog Display System

 自身の存在する空間に,空間的・時間的に離れた現場の様子(風景など)や,仮想空間の様子を再現し,あたかも自身がその現場にいるような感覚でその様子を体験することができれば,過去の現場・遠隔地の現場の疑似体験,メディアアート,教育娯楽、建築・製造のデザインシミュレーションなどの様々な分野での活用が期待できます. Fog Display Systemでは,映像投影媒体に,直径数μmの"霧"を活用することで,全く新しいディスプレイ技術の実現を目指しています.例えば,映像を投影しつつも,透過性が高く視認されにくいという霧の性質を上手く活かすことで,自身の存在する空間そのものをディスプレイとする無境界ディスプレイの実現が期待されます.またさらに,霧の位置や形状,濃度などを自由自在にコントロールすることで,従来のスクリーンからでは考えられなかったような,全く新しいスタイルの映像提示空間を創出します. 閉ざされた平面世界から,開かれた三次元世界へ.我々は,映像提示技術の新しい在り方を創造してゆきます.


 


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霧のメディア表現による遊び場空間

 砂場といった子どもが遊ぶ場には,遊びながら身体表現を通して他者とコミュニケーションを行うとともに,新たな身体表現が生まれるという特徴があります.また,本研究室ではメディアを用いることで身体表現を生み出し他者と繋がることを確認してきました.本研究では,メディア空間を遊び場に活用し,コミュニケーションの場である遊び場を支援しようと考えました.そこで,以下のような霧スクリーンシステムを開発し現場に持ち込んで効果を検討しています. 同心円上に霧噴出ユニットを配置するとともに,霧の噴出・整流・拡散の制御,3方向からプロジェクタで投影することが可能なシステムを開発しました.  霧との触れあいや,霧の流れ・形状の制御,場所による霧の有無,霧空間の内外からのメディアの視認を可能にするといった,霧自体の自然性をメディア空間に取り込むことを設計方針にしています.


国立成育医療研究センターでの体験展示

 開発した霧スクリーンシステムを来院した子どもたち,保護者の方々に体験してもらったところ,身体表現やインタラクションが生み出され,生き生きと遊んでいる様子が見られました.霧の自然性をメディア空間に取り入れることで,霧を介して身体表現やインタラクションが生み出されたのではないかと考えられています.




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Around-View Fog Screen / 全周囲型霧状スクリーン

 本研究では,自身の存在する空間そのものをディスプレイとする無境界ディスプレイの実現を目指し,霧を投影媒体とした3 次元的ディスプレイ装置の開発をしています.


  • 直線型およびL字型霧噴出部からなる霧生成ユニットの開発
  • 上記ユニットを組み合わせることで,体験者を囲む全周囲型の霧ディスプレイを実現

以上のコア技術を用いることで,体験者に映像の中に入り込んだかのような映像提示を実現しています.


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Multilayer Fog Screen / 多層型霧状スクリーン

 本研究では,自身の存在する空間そのものをディスプレイとする無境界ディスプレイの実現を目指し,霧を投影媒体とした3 次元的ディスプレイ装置の開発をしています.


  • PWM制御式超音波霧化による,濃度調整可能な超微細霧(直径数μm)の生成
  • 直線型霧生成ユニットを開発し,多層型の霧ディスプレイを実現

以上のコア技術を用いることで,映像の立体感や奥行き感を高め,体験者が存在する現実空間と映像空間とをより自然に統合いたします.


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Mobile Fog Display Units / 移動型霧状ディスプレイユニット

 霧粒子を投影媒体とすることで無境界なディスプレイが実現できたとしても,その形状が平面スクリーンである限り,そのディスプレイ形状が,体験者の身体運動を拘束してしまうという問題がありました.
 そこで本研究では,霧生成機構,霧噴出機構,移動機構を全て備えた,移動型霧状ディスプレイユニットの開発をしています.


  • 霧生成機構:超音波霧化による超微細霧(直径数μm)の生成
  • 霧噴出機構:エアカーテンを用いて霧の拡散を防ぎ,到達距離の延長
  • 移動機構:PCからすべてのユニットを独立に位置制御可能
  • 上記機構を全て備えた霧状ディスプレイユニットを,複数台連携させることで,様々な形状の霧ディスプレイを実現

 さらに本装置を空中描画システムに適用した結果,従来のシステムでは見られなかった奥行き方向への動きを伴う,空間的な身体表現が行われることが確認されました.このことから本装置は,単なる映像提示だけにとどまらず,身体表現の創出支援にさえも有効であると考えられます.




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身体的つながり感の遠隔支援を目指した Fog Box の開発

 本研究では,ポータブル型の霧ディスプレイ“Fog box”を開発し,これを用いて 3 次元的な身体表現を共に創り合うことを実現するシステムの構築に取り組むことにする.霧を映像の投影媒体として用いることで,物理的拘束がほとんどない映像を現場に直接提示できる.このため,小スペース内で相手をメディア表現することが可能である.さらに霧の向こう側が透けて見えることや通り抜けができることから,ディスプレイ面で自身の空間と相手の空間が分断せず空間を共有しているような感覚が得られ,ディスプレイ面に拘束されない三次元的な身体表現が可能になる. さらに,本研究では, Fog box を用いて,遠隔地間で指合わせを実現するシステムを開発した.






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ドーム型霧ディスプレイ



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業績・展示

  • 山口慶二郎,遠藤祐二,住友翔,三輪敬之,霧を用いた表現メディア空間の設計と遊び場への活用,ヒューマンインタフェースシンポジウム2012,pp755-758,2012.9
  • 遠藤祐二,稲沢綾二,前田広一朗,板井志郎,三輪敬之: 霧スクリーンの多層構造化による3次元的ディスプレイ装置の開発, ヒューマンインタフェースシンポジウム2010,2010.9
  • 前田広一朗,板井志郎,大崎章弘,三輪敬之: 身体表現の実在感創出ディスプレイに関する研究 第10回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2009), pp.1915-1916 , 2009 . 12
  • 稲沢綾ニ,船戸峰洋,飯田公司,三輪敬之: Shadow communication system -空間性の拡張を目指した煙状スクリーンの開発- 日本機械学会日本機械学会2008年度年次大会 , 2008 . 8
  • 丸の内キッズフェスタ2011(東京国際フォーラム,2011年8月)
  • 国立成育医療研究センター(国立成育医療研究センター・豆の木広場,2012年1月)