影メディアシステム

 足元から伸びる影を人工的に生成し,影の色や形状を変容させることによって,身体と影の間に「ズレ」を生じさせ,身体に明確な気づきを起こさせたり,身体を拡張させたりすることで身体表現の創出を支援することを試みた.


shadowmedia


shadowmediasystem


Shadow Awareness Ⅱ: Dual 2010

 従来のメディア技術は,舞台の演者を対象にしたものであり,観客の存在を考慮して設計されていません.このようなデザインでは,演者が観客とともに表現を行う,または演者が観客を意識しながら表現をしているといったような,演者と観客の間での表現の共有できていません.  この問題に対して三輪研究室では,観客を取り込んだインクルーシブな表現メディア空間の実現に取り組んでいます.具体的には,スリットスクリーンを用いて影メディア空間の開発や,劇場全体を包み込むメディアの開発を,技術者と表現者が意見を交えながら行ってきました.  また,2010年にはイタリア・ジェノバで行われた「ジェノバサイエンスフェスティバル」にスリットスクリーンを用いた影メディアシステムを披露し,表現メディア作品「Shadow Awareness Ⅱ: Dual 2010」の上演を成功させました.
 スリットスクリーンは帯状の布を,スリットを設けて並べたスクリーンです.スリットスクリーンにより,2台のプロジェクタでのスクリーン両面への映像投影や通り抜けることが可能になることで空間の広がりや演者と観客の一体感を強めることに成功しました.また,紗幕とそれを昇降する装置を開発し,スクリーンの多層化を行うことで,様々な演出が可能になりました.








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背景に着目した影メディア表現空間のデザイン

 本研究では,舞台の演者や舞台そのものを周囲の観客や環境 と関係づけることを支援するため,身体を包む背景に着目した 影メディア表現空間のデザインを行った.具体的には,背景と して提示した映像を身体動作と関連づけて変化させ,身体像と背景とが一体となった背景メディアの開発を行った.さらに, この背景メディアを投影する手法として新たにプロジェク ションマッピングにより影メディア表現空間の全周囲に メディアを投影するシステムを開発した.そして,背景 メディアを影メディアと合わせて遠隔通信するシステム を開発し,背景メディアを用いて,遠隔地間での共創表現 を支援することを試みた.



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影と音の身体性メディア循環による場の創出支援

 これまでに,二重残像影に媒介される音メ ディアの開発に取り組んできた.この音メディアは, 二重残像影の内側・外側残像の関係性に着目し,二重 的な音を生成していることに大きな特徴がある.しか し, 音によって影が変化しないため,音から身体への 働きかけがないという問題があった.そこで,本研究では,この問題を解決するため,影 と音の身体性メディア循環を生み出すことを試みた. 具体的には,二重残像影の二重的な境界(関係性)から音メディアを生成し,生成した音メディアから自己 回帰モデルを用いて得た予測的な情報により影メディ アを変化させることで,影と音の身体性メディア循環 を実現するシステムを開発した.