科学研究費助成事業 基盤研究B 課題番号26280131 H26.4-H29.3
身体性メディアによる場の統合と離れた集団間における共創表現の支援

研究目的

 複数の人々が,身体で共に表現し,存在的なつながりを深めあっていく共創表現では,集団全体の中に個々人を位置づけるための「場の働き」が重要である.これを現行のメディア技術に取り込むためには,場を表現する身体性メディアが必要になる.そこで本研究では,これまで研究してきた影メディアを身体性メディアとして活用し,地理的に離れた場所に存在する二つの演者集団間において身体表現の共創を実現することを目指す.具体的には,①:異なる二つの演者集団の「舞台(場)の統合を促す」身体性メディア技術と,②:舞台を見守る観客の働きをメディア表現することで「舞台(場)を盛り上げる」身体性メディア技術について研究する.さらに,③:①および②を統合した身体性メディアシステムを開発し,遠隔での共創の支援を実現して,離れた複数の舞台をつないだ共創表現や身体表現ワークショップ(以下WS)の実現を目指す.

研究体制

  • 研究代表者 三輪敬之 早稲田大学・理工学術院・教授
  • 研究分担者 板井志郎 早稲田大学・理工学術院・助教
  • 研究分担者 西 洋子 東洋英和女学院大学・人間科学部・教授

科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究 課題番号26540108 H26.4-H28.3
触れ合いFog Boxによる共創表現の遠隔支援

研究目的

 離れた場所間で,手や指を触れ合ったり,3次元的に動かしたりして,同時的,相補的に表現を創り合っていくモバイル通信デバイスの開発を目指す.それには,“表現の場”を生み出す述語的(場所的)なメディアが必要になると考えられる.そこで,霧と影に着目した.霧は自ずと触りたくなることや,その奥に相手の存在や空間の広がりを喚起させる.影は相手の存在位置を示し,身体の動きを引き出す働きがある.本研究ではこのような霧や影の述語性を活かした小型でポータブルな装置(Fog Boxと命名)やマッシブな霧ディスプレイ装置を開発し,“私”や“あなた”の個別的な表現から“私たちの表現”を遠隔地間で創出させることを実現する.この挑戦的な試みは共創表現に向かう身体的インタラクション支援の道を切り拓くものである.

研究体制

  • 研究代表者 三輪敬之 早稲田大学・理工学術院・教授
  • 研究分担者 渡辺貴文 早稲田大学・グリーンコンピューティングシステム研究機構・次席研究員

科学研究費助成事業 基盤研究B 課題番号25282187 H25.4-H28.3
創造的な身体表現活動での共振創出に関する研究-身体的共創から社会的共創へ-

研究目的

 本研究は,共創的な身体表現活動において自己と他者との身心がさまざまなレベルで同調する「共振」に着目し,「手合わせ表現」という具体的な手法を用いて,第一に,共振創出を促す身体表現の活動モデル開発を試みる.これと連動して,共振創出のダイナミクスの検討と共振創出能の計測手法の開発,共振創出の経験による心理・社会的変容の調査手法の開発を目指す.具体的には,東日本大震災の被災地域(宮城県石巻市,東松島市)での年間10回程度の「手合わせ表現」を主活動とする創造的な身体表現のワークショップを継続的に実施し,参加者の身体表現の変容を質的に検討しながら活動モデルを修正し深化させる.あわせて,計測および調査手法開発のための現場での試行錯誤と計測を実施する.最終段階では,収集したデータの定量的分析によって,個々人の共振創出能と心理・社会的変容との連関の動態的なメカニズムにアプローチし,その結果をもとに「身体的共創から社会的共創へ」という視点から,開発した身体表現活動モデルの評価を行う.

研究体制

  • 研究代表者 西 洋子 東洋英和女学院大学・人間科学部・教授
  • 研究分担者 三輪敬之 早稲田大学・理工学術院・教授
  • 研究分担者 野口晴子 早稲田大学・政治経済学術院・教授

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早稲田大学 理工学研究所 プロジェクト研究 H26.4-H29.3
共感的な場の創出原理とそのコミュニケーション技術への応用

研究目的

 コミュニケーション支援には自身の存在を位置(意味)づけるための居場所づくり(being technology)と,居場所における個人の表現や機能を支援する技術(doing technology)の両方が必要になると考えられる.一方,現行のウェアラブル機器やコミュニケーションシステムでは,専ら個々人の機能(doing)を支援することに主眼が置かれてきた.居場所においては他者と共存在し,同時的かつ相補的に表現すること(共創表現)によって生活のドラマを即興的に創出していくことが必要になる.そしてそこでは感情の共有を伴う共感的な出会いの場の創出が重要な働きを担うと考えられる.以上のことを1期目,2期目の研究を通じて実験的,技術的に示すとともに,出会いの場の創出に必要となる,身体的気づきを促す表現メディアの設計手法について研究してきた.3期目においては,集団での共創から生み出される場を地理的に離れた場所の間で統合したり,活性化したりする手法について明らかにするとともに,場の創出ダイナミクスについて実験的,理論的に研究する.そして,これらの研究を通じて,場の働きによって存在的なつながりへと向かうコミュニカビリティ支援技術の設計原理の確立を目指す.

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Co-Creative Expression Media

影メディアシステム

 足元から伸びる影を人工的に生成し,影の色や形状を変容させることによって,身体と影の間に「ズレ」を生じさせ,身体に明確な気づきを起こさせたり,身体を拡張させたりすることで身体表現の創出を支援することを試みた.
影メディア

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影アバタ

 アバタと人を影によってつなぐことで,仮想空間の環境を人に伝えられるような新たなアバタの設計手法について研究を行っています.
影アバタ

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Human-Nature Interface

身体性音メディア

 人の存在位置に関係付けた音のメディアシステムの開発を目指す.具体的には,人の位置に応じて提示を変化させることにより,場所的なイメージの創出支援を試みる.
身体性音メディア

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霧ディスプレイ

 閉ざされた平面世界から,開かれた三次元世界へ,霧を活用した映像提示技術の新しい在り方を創造していきます.
霧ディスプレイ

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Communication & Embodied Interface

手合わせ表現

 人間がどのように即興的な身体表現を創りあっているのかを計測によって調べることで,共創的なコミュニケーションを支援する手法について研究しています.
手合わせ表現

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リズムコントローラ

 人間が即興的に間合いを取り合う際に,どのように行為を創っているのかについて,リズムコントローラによる剣道対戦システムを活用して調べてる.
リズムコントローラ

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力触覚タブレット

 砂や粘土のように多様に変形でき,それに応じて力触覚を得られるインタフェースシステムを開発し,これをタブレットPC上で実現することによって,表現の可能性を拡げるとともに共創表現の遠隔支援に活用することを目指しています.
力触覚タブレット

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過去の研究